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11月(霜月)の茶花

11月の茶花

11月の茶花

季節は初冬。二十四節気では今日から「立冬」です。
七十二候では11月7日から11日までは、第55候の「山茶始開(つばきはじめてひらく)」。
「立冬」の最初の候、初候といいます。
「つばき」と読みますが、ここでは山茶花(さざんか)を指します。時雨が降るなか、垣根ではひときわ鮮やかに花開きます。
花の少ない、殺風景な冬枯れの季節にひっそりと可憐に咲く山茶花は、寺院や茶室の庭木としても好まれる花です。

茶道で使う11月(霜月)の茶花について知る!

霜月の茶花

白侘助(しろわびすけ)

白侘助(しろわびすけ)

江戸時代中期の天明9年(1789)に発行された駒込の伊藤伊兵衛の『諸色花形帖(しょしきはながたちょう)』に「白侘助」の名で登場するのが最初のようであると『最新 日本ツバキ図鑑』にあります。『諸色花形帖』では「早咲 白佗助 極小チョク咲 上々見事ナリ」と記載されます(色分け花図鑑 椿)。
炉の季節に合わせて咲くため、冬から春の茶花として人気が高い。一重ツバキとチャノキの雑種といわれる。
白侘助は「ワビスケ」の名の通り、雄しべの葯(やく)が退化して変形したワビスケ形が特徴です。葯が退化して花粉ができないので当然種子はできません。
白侘助をはじめ、「ワビスケ」の名で呼ばれるツバキには見た目は似ていても、系統が異なる2つのタイプがあることが分かっています。
一つは太郎冠者(別名、有楽椿)の実生やその後代のもののうち雄しべの葯が退化して白っぽく変形したもので「ワビスケツバキ」と呼ばれるグループ。
もう一つは太郎冠者の系列ではなく突然変異でヤブツバキやユキツバキの中から生まれた雄しべの葯が退化、変形したもので「ワビ芯ツバキ」と呼ばれるグループ。白侘助は前者の「ワビスケツバキ」です。
まれに花弁に紅色の小絞りが入ったり、ワビスケには珍しく枝変わりの花が咲くと『色分け花図鑑 椿』にあります。

鴫立沢(しぎたつさわ)

鴫立沢(しぎたつさわ)

鴫立沢(青鴫立沢・しぎたつさわ)はヤマモミジの代表的な品種のひとつ。
荒い鋸葉に脈斑の人気品種です。
葉は優美な小型で、春先の葉は淡緑色の葉に涼しげな濃緑色の葉脈が浮き上がり、季節を演出します。夏は若緑葉に緑斑となります。
秋は紅~橙色に紅葉します。
五代目伊藤伊兵衛政武(いとういへえまさたけ)が、秋を代表する三夕(さんせき)の歌になぞらえて作った新種(三夕楓)のうち、西行法師の歌である「心なき身にもあはれはしられけりしぎたつ沢の秋の夕暮」から名をとった品種で、モミジの中でも別格として扱われた三夕楓(さんせきかえで)の中で唯一現存する品種です。